回帰線

好きを誇れ。

モードなムード(前編)

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 UNISON SQUARE GARDENの7thアルバム『MODE MOOD MODE』が1/24に発売されて3週間が経った。今でも彼らはたくさんの雑誌やラジオに出演している。正月から続く情報公開でキャパシティ越えた人も少なくないと思う。言うまでもなく私もその1人である。

 今回は、慣れない文章を書いて私なりにアルバムを消化してみようと思いたった。どうにか読める文章が書けたらいいなぁ。

 

 

1.Own Civilization (nano-mile met)

「騙す算段なら最初から 君の脳内に溶け込んで ねじを巻いたのは僕の仕業 永劫他人の僕の仕業」 #MMM_lyrics

なんだこの曲!枠であり、『Dr.Izzy』でいうエアリアルエイリアンの立ち位置であるこの曲。グランジの雰囲気を盛り込んだ…と解説してあったが音楽の知識がないので分からん、グランジって何?

 

グランジ (Grunge) とは、ロック音楽のジャンルのひとつ。「汚れた」、「薄汚い」という意味の形容詞 "grungy" が名詞化した "grunge" が語源。

Wikipediaより

 

なるほどなるほど。これは斎藤さんの声のイメージとは正反対だな…と思っていたところ見事に裏切られた。この曲めちゃくちゃかっこいい。

この曲を歌うにあたって初めて取り入れたのは、「語尾の音程を上に切る」ことだそうで。意識して聴いてみるとAメロのあたり確かにそう聴こえる。一聴では分からないようなことを工夫して、一曲ずつの雰囲気を変えているあたりやっぱりすごい。貴雄さんのドラムがこういう洋楽的な音楽に合うのも新たな発見だった。UNISON SQUARE GARDENの音楽性の幅が見えた曲。

 歌詞についても少しだけ。

精度が上がったら拡張化 無意味に目立ったら逆効果/ここらでぐらつかせてやろう 有体たる流れを変えてやろう

この歌詞の他にも各所で見られるのはユニゾンのスタンス。Dr.Izzyで「どれだけ注目されても変わらない」ことを体現してみせた後のアルバムで、君たちが不安になるくらい振り切ったことをやるという宣戦布告の曲に思える。目立つの嫌い、リスナーとは他人なので距離は適度に保ちましょうっていうスタイルを再確認する曲でもあるのかもしれない。

 

 

2.Dizzy Trickster

「みんなが大好きな物語の中じゃ呼吸がしづらいんだね」 #MMM_lyrics

はい来ました「The」UNISON SQUARE GARDENな曲!Own Civilization終わりからの絶妙な秒数でイントロが始まる。相変わらずキャッチーなメロディと、ドラムの手数の多さで「あ、私が聴いてるのはユニゾンのアルバムだ」と安心する。

MUSICAのインタビューで田淵さんが、UNISONっぽい楽曲が生まれると既存の曲と同じだと思われまいか心配になる。って言ってたけど全くそんな気配もなく。ユニゾンの本筋をなぞりつつも単なる焼き増しではない曲を作るソングライティング力、さすがです。

 ちなみにDizzyは「目が回る・ふらふらする」で、Tricksterは「詐欺師・ペテン師」という意味。歌詞を見ながら聴けば聴くほどユニゾンとそのファンの曲に思えてきた。今の音楽シーンからみると時代遅れと言われるかもしれないスタイルを貫くユニゾンと、そこから離れられそうにもない私たち。でもロッキンのインタビューによると「対・ユーザーに自分のこととして聴いてくれということではなく」って言いきってるから、あくまで私の歪な解釈として聞いてほしい。

 こういう底抜けに明るいサビの曲で、ひょっこりマイナーコードが顔を出すの好き。イントロで右から左に走り抜けるギターの工夫が大好き。さりげない英歌詞や、四字熟語を多用しているところユニゾンらしくて好き。好きを並べるとキリがないのでこの辺で。

 

 

3.オーケストラを観にいこう

「タクトみたいに揺れ動く感情の迷いに合わせて ああ 頭の中言葉たちが大合唱で どうやって選ぼう?」 #MMM_lyrics

意外だったのは、3曲目がシングルではなかったことである。UNICITYの曲順当てのためにこれまでのアルバムを調べて「3曲目には絶対シングルが来る!」と確信していたのに違った。それを予想したうえで敢えてこの曲を持ってきたと言うから更なる驚き。アルバムにとって重要な位置にアディショナルなプレイヤーを取り入れた曲を持ってきたことに強いこだわりを感じるし、それほど温めていた曲ということなのだろう。

 歌詞を見るとユニゾンにしてはめずらしくストーリー性のある曲で、「ラブストーリーも単純に書かない」というポリシーを窺える言葉選びが癖になる。その上オーケストラの音が入ることを意識したからなのか、バンドの音全体が優しく聴こえる。終わり方がまた良い、一瞬でクレッシェンドして盛り上がるのがとても新鮮だった。他の2人は忘れてたけど貴雄さんのアイデアらしい。…どれだけ音楽の引き出し持ってんだこのバンド。リスナーはものの見事に揺さぶられました。

そこかしこで「ユニゾンの軸はブレてない」ということを表明してくれているからこそ出来上がった曲だと思う。絶妙なバランス感覚だよなぁ、ところで「田淵智也のアルバム構成力と曲順のセンスについて」っていう論文だれか書いてね、楽しみにしてる。

 

 

4.fake town baby

「time to Rock ‘n’ Roll」 #MMM_lyrics

 初めて聴いたのはラジオだった。最初はあいかわらず何を言ってるのかほとんど聴き取れなかったが、もうただただかっこいい。ユニゾンの魅力の1つにはアニメとタイアップ曲の世界観の統一があると思うが、この曲も例に漏れず。しかも以前EPのシュガーソングとビターステップで「甘くて苦くて目が回りそうです」と言っておいて、今回OPのこの曲では「甘いか苦いかは君が決めろよ」ときた。各所に散りばめられた歌詞の遊びに気付いた物好きのみなさんはニヤッとしたはず。

余談だが、この曲のライブでのコーラスがお気に入り。

君が持ってる常識なんか ガラクタなんだよ

田淵さんがマイクに噛み付くみたいにコーラスしてるところとか、上のハモりとか。もちろん斎藤さんと貴雄さんの超絶技巧あって成り立ってる曲であるから、ライブでは目が3つ欲しいと常々思う。

 

 

5.静謐甘美秋暮抒情

「奇跡みたいな解決なんか期待しないのが モードなムード 静謐甘美な目覚めのそのあとで」 #MMM_lyrics

まずタイトルを見て頭の中をはてなマークが埋め尽くす。なにこれどうやって読むの。せいひつかんびしゅうぼじょじょう…?違った、せいひつかんび"あきぐれ"じょじょう か。なんで叙情ではなく抒情なんだろう。

「抒」は「汲み出す」の意味から「表現する」を表すようになった漢字。 「叙」は単に述べるという意味。 なるほど、やはり心の内面を述べるには「抒」のほうが本来的のようです。

MUSICAのインタビューで「季節感や気持ちのエモさが反映されてないものだと、ちょっと無機質な曲になっちゃうかなって思った」とあるから、タイトルにもこだわったのだろうか。

 イントロから既に揺さぶりにきたことを確信する曲調。この曲スキマ多いしめちゃオシャレだな。自称隙間恐怖症の田淵さんと貴雄さんがそれを少し克服したらしい。横に薄く広がるような秋の清涼感を感じられる曲である。

 ちなみにこの曲をレコーディングしたとき斎藤さんは38度の熱があったそうで。鼻声で録った…と言われれば確かにそんな気がする。「淡い眩暈」の歌い方が切なくて曲のイメージとベストマッチ。さらに余談としては、眩暈と目眩の違いを調べてみると

眩暈:自分の身体または大地があたかも回転しているかのような感覚。

目眩 目がかすみ頭がくらくらすること。→よろめくような、非回転性のふらつき感

らしい。また深読みして笑われてしまいそう。

 

 

6.Silent Libre Mirage

「張り切って跳べ」 #MMM_lyrics

Libreは元々スペイン語で「自由」という意味。Mirageはいくつかあって

1蜃気楼(しんきろう)・逃げ水.
2はかない(実現不可能な)夢・希望・願望

どの意味で使っているんだろうか。単語のイメージ全部含めているのかもしれない。

爽涼感がそのまま音になったような曲。勝手なイメージだが、水面を眺めているというよりは、水の"中"から水面のキラキラを見上げているような雰囲気を感じる。

fake town babyに引き続き、こちらはドラマの主題歌になったのだが、やはりドラマと主題歌の相乗効果が見込めるような曲に仕上がっている。しかし爽やかな曲調とは裏腹に、歌詞は少々ダークである。「癪にさわる」「ゴミくず」「さっさと構えろ」などなど…前言撤回する、少々どころではなく口が悪い。明るい曲調と口の悪い歌詞でバランスを取ったのだろうか。静謐甘美秋暮抒情では「"モード"なムード」とあったが、ここでも「無敵"モード"」という言葉が出てくるのも面白い。

 

 

まだまだ長くなりそうなので前編 1-6曲目、後編7-12曲目で分けることにする。ここまで読んでくださった方、分かりにくい文章にお付き合い頂きありがとうございました!